MA(マーケティングオートメーション)のKPIとKGI設定方法|BtoB向けKPIツリーと改善法

MA(マーケティングオートメーション)のKPIとKGI設定方法|BtoB向けKPIツリーと改善法
  • KPIを設定しろと言われたが、具体的にどの数字を追えばいいのかわからない

  • メールの開封率は見ているが、それが最終的な売上にどう貢献しているか説明できない

  • どの指標を見て、どう改善すればいいのかわからない

MA(マーケティングオートメーション)を導入したものの、日々の配信業務に追われ、KPIが形骸化してしまうケースは少なくありません。特にBtoBマーケティングでは、検討期間が長く、複数の担当者が関与するため、単に「メールの開封率」や「クリック数」を追うだけでは、事業への貢献度が見えにくくなります。

本記事では、BtoBマーケティングの現場で成果を出し続けるために不可欠な、KPI設計の具体的な手順改善アクションについて解説します。KGIから逆算したロジカルなKPIツリーの作り方から、フェーズごとの目標値の目安まで、明日からの運用に役立つ実践的なノウハウをお伝えします。

  • この記事の要点

MAのKPIは単独で設定せず、必ずKGI(売上・受注)から逆算した「KPIツリー」で設計する。

追うべき指標はMA運用フェーズによって異なる。MA導入初期は「データの蓄積や運用定着」、成長期は「リードナーチャリングの実施」成熟期は「営業連携や費用対効果」をはかれる指標を重視する。

MAのKPIを正しく活用できる運用体制を構築するには、マーケティング・インサイドセールス・営業の3部門が連携する体制づくりと、MAとSFA/CRMを連携してリード獲得から受注までのデータを一貫して計測できる環境整備が重要。

MAのKPI設定方法【KPIツリー作成の3ステップ】

MAのKPI設定方法【KPIツリー作成の3ステップ】

多くの担当者が陥りがちな失敗は、いきなり「メルマガ開封率20%」といった個別の目標数値を決めてしまうことです。KPIはあくまでKGI(最終ゴール)を達成するための中間指標にすぎません。全体像を整理するために、まずはKPIツリーを作成しましょう。

  1. KGI(売上・受注数)を定義し、逆算の起点を作る
  2. KGI達成の「成功要因(KSF)」をプロセスごとに分解する
  3. 各要因を「計測可能な指標(KPI)」に落とし込む

関連記事:MAツールとは?機能・比較・選び方と活用事例を徹底解説

ステップ1:KGI(売上・受注数)を定義し、逆算の起点を作る

まずは、マーケティング活動の最終的なゴールであるKGIを定義します。BtoBマーケティングの場合、一般的には「売上金額」または「受注件数」が設定されます。

このKGIは、マーケティング部門・インサイドセールス部門・営業部門共通のものになります。

ステップ2:KGI達成の「成功要因(KSF)」をプロセスごとに分解する

次に、KGIを達成するために必要な要素をプロセスごとに分解します。これをKSF(Key Success Factor:重要成功要因)と呼びます。

例えば、KGIが「受注数」であれば、受注に至るプロセスは以下のように分解できます。

  • 見込み顧客を集める(リードジェネレーション)
  • 見込み顧客を育成し、興味を高める(ナーチャリング)
  • 確度の高い顧客を選別し、営業に引き渡す(リードクオリフィケーション)
  • 営業が商談を行い、成約する

この段階では数値ではなく、「どのような状態になれば成功か」という要因を洗い出していきます。

ステップ3:各要因を「計測可能な指標(KPI)」に落とし込む

最後に、それぞれの成功要因を具体的な数値目標(KPI)に変換します。

  • リードを集める→新規リード獲得数
  • 検討度を高める→メール開封率、クリック率、商談化率
  • 営業に引き渡す→商談数、商談化率
  • 成約する→案件化数、案件化率、受注数、受注率

このように上流から下流へと数値を繋げていくことで、ボトルネックを見つけられるようになります。

例えば「受注目標に届かない原因は、商談化率が低いからだ。商談化率を上げるために、ホットリードの定義を見直そう」といった論理的な改善アクションが取れます。

BtoBマーケティングの標準的なKPIツリーモデル

ここでは一般的なKPIツリーの構成例を紹介します。



  • KGI:売上
  • KPI:受注数、商談化数、リード数、ウェブサイト訪問数、受注率、案件化率、商談化率、CV率

このように分解していくと、現場の担当者が追うべき日々の指標が、最終的な売上にどう繋がっているかが可視化されます。

MA運用で追うべき主要KPI項目と計算式【一覧表】

KPIツリーで全体像を把握したら、各プロセスで具体的に計測すべき指標と計算式を確認します。

  • 【リード獲得フェーズ】集客施策のKPI

  • 【リード育成フェーズ】メールマーケティングのKPI

  • 【リード選別フェーズ】ホットリード引き渡しのKPI

【リード獲得フェーズ】集客施策のKPI

リード獲得フェーズでは、リード数を追うだけでなく、ターゲット条件に合致しているか(有効リード数、ターゲット比率)を意識します。MAに蓄積されるフォーム回答内容から測定できます。

  • 新規リード数:初めて接点をもったリードの数
  • 有効リード獲得数:ターゲット企業の条件(業種・規模など)を満たすリードの数
  • CVR(コンバージョン率):Webサイト訪問者のうち、フォーム登録に至った割合

計算式:CV数 ÷ セッション数 × 100

  • CPA(獲得単価):リード1件を獲得するためにかかったコスト

計算式:広告費などのコスト ÷ リード獲得数

【リード育成フェーズ】メールマーケティングのKPI

MAを使って検討度を高めていく取り組みの中心はメール施策です。下記の指標を確認しましょう。多くのMAツールでは配信したメールごとに自動で計測されるようになっています。

  • 到達率:送ったメールがエラーにならず相手に届いた割合

計算式:(配信数 - エラー数) ÷ 配信数 × 100

  • 開封率:届いたメールが開封された割合

計算式:開封数 ÷ 有効配信数 × 100

  • クリック率(CTR):開封されたメール内のリンクがクリックされた割合

計算式:クリック数 ÷ 開封数 × 100

  • 配信停止率(解除率):メルマガ登録解除に至った割合

計算式:解除数 ÷ 有効配信数 × 100

関連記事:メールマーケティングの始め方5ステップ!初心者でも成果を出すコツと例文

【リード選別フェーズ】ホットリード引き渡しのKPI

育成の結果、どれだけ営業に渡せる状態になったかを測ります。

ただし、MA単体で計測することは難しいため、SFA/CRMと連携させる必要があります。

  • MQL数:マーケティング部門が「インサイドセールス・営業に渡すべき」と判断したホットリードの数
  • 商談化率:営業に渡したリードのうち、実際に商談化した割合

計算式:商談化数 ÷ MQL数 × 100

  • 案件化率:商談の結果、具体的な見積もり提示や検討フェーズ(案件)に進んだ割合

【BtoB向け】KPI目標値の目安

「自社の数値が良いのか悪いのかわからない」という方のために、一般的なBtoB業界における目安を紹介します。ただし、扱う商材や見込み顧客の検討度によって数値は大きく変動するため、あくまで参考値として捉えてください。

  • メール開封率・クリック率の目安
  • ランディングページ(LP)とフォームのコンバージョン率の目安
  • インサイドセールス→フィールドセールスへの引き渡し率の目安

メール開封率・クリック率の目安

定期配信するメルマガの場合、以下の数値がひとつの目安となります。もちろん、メールの内容が顕在層よりであれば、興味を持つ人が少なくCVのハードルが高くなるため、開封率やクリック率は低くなる傾向にあります。

  • 開封率:15%〜25%

潜在層~準顕在層向けのメールであれば、20%を超えていれば良好です。10%を切る場合は、件名や配信リストの質(ターゲット外が含まれていないか)を見直す必要があります。

  • クリック率(開封者ベース):5%〜10%

メールの内容が読者の関心と合致しているかの指標です。低い場合は、オファーやCTAボタンの配置に問題がある可能性があります。

ランディングページ(LP)とフォームのコンバージョン率の目安

広告やメールのランディングページや、資料・ホワイトペーパーやセミナー申し込みフォームの通過率です。

  • LPのCVR:1%〜3%

広告経由か、メール経由かで異なりますが、BtoBでは1〜2%程度が一般的です。

  • フォーム通過率(EFO):20%〜40%

フォーム到達者のうち、完了まで至る割合です。入力項目が多すぎると離脱の原因になります。

インサイドセールス→フィールドセールスへの引き渡し率の目安

インサイドセールスが架電し、フィールドセールスの商談アポイントを獲得する割合(商談化率)です。

  • 商談化率:5%〜15%

資料請求時にすでに比較検討段階の「激アツ」リードなら30%を超えることもありますが、BtoBでは情報収集段階のリードが多いため、数%にとどまるケースもあります。平均して10%前後を目指すとよいでしょう。

ただし、商談化率は商材によって大きく変動します。

またCVポイントがホワイトペーパーか、サービス資料か、デモ体験かによって大きく異なるため、各チャネル・各CVポイントごとの平均値を把握しましょう。自社の見込み顧客の特性を理解することで、適切なKPI目標値を設定できるようになります。

【MA運用フェーズ別】見るべき重要KPI

MA運用を最初から完璧にこなすことは、かなり難易度が高いと思った方がよいでしょう。使いこなすのにマーケティングの知識はもちろん、それをMAの設定に落とし込むための学習コストもかかります。

そのため、MAの運用フェーズに合わせて見るべき重要KPIを変えていくことが、挫折しないポイントです。

  • 【導入期/1年目】データを蓄積し、運用できる体制を整える
  • 【成長期/2〜3年目】リードナーチャリングを本格化する
  • 【成熟期/3年目以降】営業連携を強化し、さらに費用対効果も追及する

関連記事:MA導入ガイド|稟議を通すROI設計からツール選定、運用体制まで解説

【導入期/1年目】データを蓄積し、運用できる体制を整える

導入直後は、まだ十分なデータがありません。この段階でいきなり商談数をKPIにすると、成果が出ずにチームの士気が下がります。

まずは「正しく運用できているか」を指標にします。

見るべき重要KPIの例

  • リードインポート数

まずは社内に散らばった顧客データをMAに集約し、データを整理することを目指しましょう。

  • メール配信回数

メルマガの定期配信を仕組み化することを目指しましょう。

  • フォーム作成数、コンテンツ作成数

見込み顧客の情報を正しく取得できるように、フォームを整備したり、ナーチャリングに必要なコンテンツを拡充することを目指しましょう。

【成長期/2〜3年目】リードナーチャリングを本格化する

データが溜まり、運用が回ってきたら、次は「育成」の成果を問います。

ナーチャリングのための施策が進められているか、ホットリードを創出できているかを注視します。

見るべき重要KPIの例

  • ホットリードの発生数
  • ステップメールの完走率
  • 休眠リードの掘り起こし数(再アクティブ化数)
  • 商談化率

【成熟期/3年目以降】営業連携を強化し、さらに費用対効果も追及する

運用が安定し、成果が出始めたら、より効率的なマーケティングを目指します。無駄なコストを削減し、利益率を高めるフェーズです。

見るべき重要KPIの例

  • 受注率、受注単価
  • リードソース別のROI(どの施策が最も利益に貢献したか)
  • CAC(顧客獲得コスト)の削減率

KPI未達の時の主な原因と改善策

KPIを設定しても、達成できなければ意味がありません。数値が悪かったとき、どこをチェックすべきかの改善ポイントを解説します。

  • 開封率が低い場合:件名・差出人名・配信リスト・タイミングを見直す
  • クリック率が低い場合:本文構成・CTAを見直す
  • 商談化率が低い場合:ホットリードの基準やターゲット定義のズレ修正する

開封率が低い場合:件名・差出人名・配信リスト・タイミングを見直す

開封されない最大の理由は「自分に関係ない」と思われることです。

  • 件名: 具体的なメリットや数字を入れる。「【重要】」「〇〇様へ」などの工夫をする。
  • 差出人名: 会社名だけでなく「個人名」を入れることで、親近感を高める。
  • 配信リスト:配信リストのリードの興味関心に合った内容を送るようにする。
  • 配信タイミング: ターゲットがメールチェックする曜日・時間帯(火~木の午前中など)を探る。

クリック率が低い場合:本文構成・CTAを見直す

開封はされるがクリックされない場合、本文の内容が期待外れか、アクションがわかりにくい可能性があります。

  • ファーストビュー: メールを開いた瞬間に「何のメールか」「何が得られるか」を伝える。
  • CTAボタン: テキストリンクだけでなく、目立つボタンを配置する。ボタンの文言も「詳細はこちら」より「資料をダウンロードする(無料)」のように読者の行動を具体的にする。
  • トピックを絞る: 1通のメールに詰め込みすぎず、読者に求める行動を1つに絞る。

商談化率が低い場合:ホットリードの基準やターゲット定義のズレ修正する

MA上で「ホット」と判定して営業に渡しても、「まだ情報収集段階だった」と返されるケースです。これはツールの問題ではなく、定義の問題です。

  • スコアリングの見直し: Web閲覧だけでなく、「資料請求」や「料金ページ閲覧」など、検討度が高い行動の配点を高くする。
  • 行動検知への転換:BtoBの場合は、会社の方針で急に検討度が上がることが少なくないため、スコアリングはうまく機能しない場合がある。そのため、「料金表をみた」といった今検討度が高いかどうかを判断できる「行動検知」によるホットリード検知を検討する。
  • BANT情報の確認: インサイドセールス段階で、BANT情報をヒアリングできているか確認する。
  • ターゲットの見直し: そもそも営業が攻めたい企業属性と、マーケが集めているリード属性がズレていないか確認する。

KPIを正しく活用できるMA運用体制の作り方

KPIを正しく活用できるMA運用体制の作り方

KPIは設定して終わりではありません。PDCAを回し続けるためには、適切な運用体制が必要です。

  • 「ホットリード」はマーケティング・IS・営業で一緒に定義する
  • MAとSFA/CRM連携でKGI・KPIを可視化する
  • 定例会議でリードの反応を確認し、ターゲット精度向上とコンテンツ企画に活かす

「ホットリード」はマーケティング・IS・営業で一緒に定義する

ホットリードの定義が曖昧だと、マーケティングと営業の間で摩擦が生じます。

次のような根拠に基づいて決めましょう。

  • メインターゲットの業種・属性は何か?
  • どのCVポイントを通過したリードをISの架電対象とするか?
  • 過去に商談・受注につながった顧客の共通点は何か?

特に、実際に見込み顧客と対話しているインサイドセールス・営業の声を反映することが重要です。

最終的には、マーケティング・インサイドセールス・営業の3部門で合意形成を図ってください。

関連記事:営業に喜ばれるホットリードとは?自社に合う作り方・見つけ方・育て方

MAとSFA/CRM連携でKGI・KPIを可視化する

マーケティングの成果をKGI(受注)まで追うためには、MAとSFA/CRMのデータ連携が必須です。

これらが分断されていると、「メールからサイトに来た人」と「受注した人」が同一人物かどうかが紐づけられず、正確なROIが出せません。SFAに蓄積された商談結果をMAに戻し、分析できる環境を整えましょう。

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定例会議でリードの反応を確認し、ターゲット精度向上とコンテンツ企画に活かす

月に1回は、マーケティングと営業(インサイドセールス含む)の合同定例会を実施しましょう。

ここでは、「未達の責任」を追及するのではなく、「なぜ未達だったか」「どの施策からのリードが商談に繋がりやすかったか」を建設的に議論します。営業からのフィードバック(生の顧客の声)は、次のコンテンツ企画やKPI改善の最大のヒントになります。

まとめ:KPIは組織の成長に合わせて定期的に見直す

KPIは一度決めたら絶対に変えてはいけないものではありません。市場環境の変化や組織の成熟度に合わせて、半年に一度は見直しを行いましょう。数値を追うことは目的ではなく、事業を成長させるための手段であることを忘れずに運用を続けてください。

この記事で説明した内容が、貴社のMA活用の成果向上と、社内でのスムーズな合意形成の参考になれば幸いです。

なお、「既存のツールが高機能すぎて使いこなせない」「SFAとの連携設定が難しくてデータが分断されている」といった課題をお持ちの場合は、ferret One for MA も選択肢の一つとしてご検討ください。

ferret One for MAは、BtoBマーケティングに必要な機能だけに絞り込んだシンプルな設計と、ワークフロー機能を用いたSFA/CRMとのスムーズな連携が特徴です。複雑な設定なしで直感的に操作できるため、KPIの計測や改善アクションに集中しやすく、専任の担当者がいない組織でも成果に繋げやすい環境を提供します。

ご興味があれば、ぜひ詳細をチェックしてみてください。

ferret One for MA
ferret One for MA
ferret One for MAは、誰でも・簡単に使いこなせることをコンセプトとしたMAツールです。 「これ、現場で使える!」と思ってもらえるようなヒントを発信中。 MAやナーチャリングの運用をもっと身近に、もっと簡単に。 Twitter:@ferret_One_

登録番号 IA180169
適用規格 ISO/IEC 27001:2022 / JIS Q 27001:2023