MAツールとBIツールの違いは?自社には「どっち」が必要?フェーズ別判断基準


複数のツールからCSVをダウンロードして、エクセルで統合する作業に限界を感じている
- 経営会議で「この数字の根拠は?」と聞かれるたびに、レポートの修正に追われている
- MAツールを導入したが、結局売上にどう貢献しているのか正確に可視化できていない
マーケティング活動が高度化するにつれ、取り扱うデータの種類と量は増加しています。多くのマーケターが直面するのは、施策を考える時間よりも「データを集めて整える時間」の方が長くなってしまうという本末転倒な状況です。
MAツールは導入済みでも、その分析機能だけでは経営層が求めるレポートを作成できず、BIツールの導入を検討すべきか悩んでいる方は少なくありません。
しかし、安易にBIツールを追加しても、使いこなせずにコストだけがかさむリスクもあります。
本記事では、MAツールとBIツールの役割の違いを整理し、どのようなフェーズや課題感であればBIツールが必要になるのか、その判断基準を明確にします。
自社のデータ活用フェーズに合わせた、最適なツール選定の指針としてお役立てください。
- この記事の要点
MAは「マーケティングの施策実行」、BIは「データの可視化・分析」に特化している。
MAツールは、獲得した見込み顧客(リード)情報を一元管理し、商談に至るまでの育成(ナーチャリング)プロセスを自動化・効率化するツール。BIツールは、企業内に蓄積された膨大なデータを収集・蓄積・分析・報告するためのツール。
MAツールの分析機能は「メール開封率」など施策ごとの分析は得意だが、営業データや販売データなど複数ツールに散らばったデータを組み合わせた顧客生涯価値の分析は難しいため、BIツールが必要になる。
BIツールを使いこなすには高度なスキルが必要。導入の前に、現在のMAツールの分析機能が十分に活用されているか、または分析機能が充実したMAツールへの乗り換えで解決できないかを確認する。
MAツールとBIツールの違い
MAツールとBIツールの違いについて解説します。
MAツール | BIツール | |
|---|---|---|
主な目的 | ・マーケティングの施策実行 | ・データの可視化・分析 |
扱うデータ | 顧客の行動履歴 | 企業内のあらゆるデータ |
得意な分析 | ・「誰が」何をしたか(個人の特定と追跡) | ・「全体で」何が起きているか(傾向の把握) |
ユーザー | マーケティング担当者、インサイドセールス | 経営層、データアナリスト、各部門の責任者 |
時間軸 | リアルタイム(今、行動した人にメールを送る) | 過去から現在までの蓄積(トレンドを見る) |
役割の違い:「施策実行(MA)」か「可視化(BI)」か
MAツールとBIツールの最大の違いは、データを使ったあとの「アウトプット」にあります。
MAツールのアウトプットは「施策実行」です。
「Webサイトの料金ページを見た」というデータが入れば、その顧客に対して「事例集をメールで送る」といった具体的な施策を自動で実行します。データは、適切なタイミングで顧客にアプローチするためのトリガー(きっかけ)として扱われます。
一方、BIツールのアウトプットは「レポート(可視化)」です。
「Webサイトの閲覧数」「商談数」「受注金額」といったバラバラのデータを統合し、グラフやダッシュボードとして表示します。ここから「特定のキャンペーン経由の受注率が高い」といった示唆を得て、意思決定を行うことができます。
なぜMAツールの標準レポート機能だけでは分析が不十分なことがあるのか
多くのMAツールには標準で「ダッシュボード」や「レポート機能」が備わっています。
ただ、これらはあくまで「MAツール内のデータ」を可視化することに主眼が置かれています。
例えば、「メール配信数に対するクリック率」や「フォーム通過率」などはMAツールだけで完結するため、分析可能です。しかし、「そのリードが最終的にいくらの売上になったのか(SFA/CRMのデータ)」「そのリードを獲得するために広告費がいくらかかったのか(広告媒体のデータ)」といった、外部ツールのデータを掛け合わせた分析(ROI分析など)を行おうとすると、MA単体では連携や集計が難しくなります。
ここで、データの「つなぎ込み」と「高度な計算」に特化したBIツールの出番となるわけです。
MAツールとは:ナーチャリング施策自動化

MAツールは、獲得した見込み顧客(リード)情報を一元管理し、商談に至るまでの育成(ナーチャリング)プロセスを自動化・効率化するツールです。
Account EngagementやMarketo、ferret One for MAなどが代表的です。
「誰に」「いつ」「どのような」情報を届けるかを設計し、それを実行に移すことが主たる役割です。
分析機能もありますが、それはあくまで「次の施策をどう改善するか」という、現場レベルのPDCAを回すための機能として実装されていることが一般的です。
関連記事:MAツール(マーケティングオートメーション)とは?導入のメリット・機能をわかりやすく解説
関連記事:【2025年版】MAツール比較|タイプ別の選び方を徹底解説
MAツールの主な機能
MAツールの機能は「個人の特定」に強みがあります。「今、目の前の顧客にどう対応するか」を決めるための機能が備わっているといえます。
メール配信
一斉配信はもちろん、あらかじめ設定したシナリオに基づき、資料請求した3日後に事例紹介メールを送る(ステップメール)など、段階的なコミュニケーションも自動化できます。
行動ログ計測・行動検知(ホットリード検知)
「Aさんが料金ページを3回閲覧した」といった特定の行動を検知し、営業担当者に通知を送ることで、熱量の高いタイミングでの架電が可能になります。
スコアリング
見込み顧客の役職や行動履歴に点数をつけ、検討度を数値化することで、アプローチすべきリードの優先順位をつけることができます。
関連記事:【2025年版】MA機能一覧|自社に必要十分な機能がわかる見極め方
BIツールとは?(データ集約・可視化)

BIツールは、企業内に蓄積された膨大なデータを収集・蓄積・分析・報告するためのツールです。Tableau(タブロー)やGoogle Looker Studio、Microsoft Power BIなどが代表的です。
マーケティング領域だけでなく、営業の売上データ、経理のコストデータ、人事の勤怠データなど、社内に散在するデータを1か所に集約・統合できる点が最大の特徴です。
「過去になぜそうなったのか」「これからどうなりそうか」を把握し、経営層やマネージャーが迅速な意思決定を行うための判断材料を提供します。
BIツールの主な機能:ダッシュボード作成とレポーティング自動化
BIツールは、バラバラのデータをまとめて、誰にでもわかる形で見せるための機能を搭載しています。
データ統合
Salesforce、Google Analytics、スプレッドシート、CSVファイルなど、形式の異なるデータを接続し、分析可能な状態に加工・統合します。
インタラクティブなダッシュボード
クリック一つで「月別」「担当者別」「商品別」などデータをドリルダウン(掘り下げ)して詳細を確認できます。静的なExcelレポートとは異なり、気になった箇所をその場で深掘りできます。
レポーティング自動化
毎日決まった時間にデータを更新し、関係者にメールで配信するなど、会議資料作成の手間を大幅に削減します。
【ケース別】MAだけでなくBIツール導入が必要になるシーン

なぜMAの標準レポート機能だけでは不十分になるのでしょうか? MAツール単体では、「MAに取り込んでいないデータ」との紐づけが困難だからです。
例えば、MAツールは「リード獲得単価(CPA)」までは出せても、「最終的な利益率」を出すには原価データが必要です。しかし、原価データは通常、基幹システムやERPに入っており、MAツールには連携されません。
このように、マーケティング活動の結果を「会社全体の数字」とつなげて評価したい場合、MAツールの機能範囲を超えてしまうため、BIツールによる統合が必要になります。
ここでは、具体的にどのような企業が、どのような分析をしたい場合に必要となるのかを解説します。
- SaaS・サブスク企業:解約率とLTVの統合分析
- 実店舗を持つ小売・メーカー:オンライン行動とPOSデータの横断分析
- 複数事業・ブランド展開企業:ツールが異なる事業部のデータを統合
- データドリブンな組織:データ分析の工数削減とリアルタイム共有
SaaS・サブスク企業:解約率とLTVの統合分析
SaaSビジネスでは、契約後の「継続率」や「アップセル」が重要です。
MAツールは「契約獲得(受注)」までのプロセスには強いですが、その後の「プロダクトの利用状況」や「解約リスク」といったカスタマーサクセス領域のデータは持っていないことが多いです。
BIツールを導入し、MAツールの「獲得チャネルデータ」と、自社プロダクトの「利用ログデータ」、管理システムの「請求データ」を統合することで、「どのチャネルから流入した顧客が、長く使い続けてくれているか(LTVが高いか)」という分析が可能になります。
実店舗を持つ小売・メーカー:オンライン行動とPOSデータの横断分析
オンライン(EC)とオフライン(実店舗)のデータを統合するOMO施策においては、BIツールが不可欠です。
MAツールでWeb上の行動やメール反応は見えますが、実店舗のレジ(POS)データとは分断されがちです。「Webでクーポンを配布した結果、実店舗の売上がどう変化したか」「店舗で購入履歴がある人が、Webサイトをいつ再訪したか」といった分析を行うには、会員IDをキーにして双方のデータをBIツール上で統合する必要があります。
複数事業・ブランド展開企業:ツールが異なる事業部のデータを統合
「事業部AはMarketoとSalesforce」「事業部Bはferret OneとKintone」のように、社内で使用しているツールがバラバラなケースは珍しくありません。
この状態で全社のマーケティング成果を報告しようとすると、各ツールからデータをCSV出力し、Excelで手動集計するしかありません。これはミスの温床となり、工数も膨大です。
BIツールで各ツールのデータを自動的に集約する仕組みを作れば、全社のマーケティング活動を一つの画面でまとめて確認できるようになります。
データドリブンな組織:データ分析の工数削減とリアルタイム共有
経営層や営業責任者など、ツールに直接ログインしないメンバーへの共有コストを下げるためにもBIツールは有効です。
MAツールの管理画面は専門的で、マーケター以外には見方が難しい場合があります。 BIツールで見たい指標だけをシンプルに可視化したダッシュボードを作成し、URLを共有しておけば、関係者はいつでも最新の数字を確認できます。「あの数字どうなってる?」という問い合わせ対応の自体を削減できます。
MAツール・BIツールのどちらを優先すべきか?フェーズ別判断基準
一般的にBIツールは、ビッグデータを扱わなければならないような、かなりマーケティングが進んだ段階で導入するべきツールです。どのようなフェーズになるのかをまとめました。
フェーズ | 状況・課題 | 推奨ツール構成 |
|---|---|---|
立ち上げ期 | ・リード数がまだ少なく、施策を実行すること自体が最優先 | MAツールのみ |
成長期 | ・施策が増え、分析したい切り口が増えてきた | 高機能MA または MA+簡易SFA |
拡大・複雑化期 | ・データソースが3つ以上(広告、MA、SFA、基幹など) | MA+BIツール |
多くの企業は「分析機能が強いMA」で十分な場合も
「分析がうまくいかないからBIツールが必要だ」と考える前に、「現在のMAツールの分析機能を使いこなせているか?」、あるいは「分析機能が使いにくいMAツールを使っていないか?」を再確認することをおすすめします。
BIツールの導入には、ライセンス費用だけでなく、初期の設計(データの定義、接続設定、ダッシュボード構築)に高度な専門知識と工数が必要です。専任の担当者がいない場合、導入しても「誰もメンテできない箱」になってしまう失敗例が後を絶ちません。
もし現在の課題が「基本的なマーケティング成果(リード数、商談化率、受注数)の可視化」であれば、無理にBIツールを導入するのではなく、レポート機能が充実しているMAツール、あるいはSFA連携が容易なMAツールへの乗り換えを検討するほうが、コストパフォーマンスと即効性が高い場合があります。
まとめ
MAツールとBIツールは、どちらが優れているかという比較対象ではなく、役割の異なる補完関係にあります。
- MAツール: マーケティング施策を実行し、見込み客を獲得・育成して商談につなげるツール
- BIツール: 複数のデータを統合・可視化し、経営判断やマーケティング戦略の立案を支援するツール
重要なのは、自社のフェーズに合わせて適切なツールを選ぶことです。データ活用に課題を感じているからといって、いきなり高額なBIツールを導入する必要はありません。まずは「何を知りたいのか」「そのためにどのデータが必要か」を整理し、それが現在のMAツールで実現可能かを確認することから始めてみてください。
なお、もしも「現在のMAツールでは分析機能に限界を感じている」、あるいは「もっと使いやすいMAツールを探している」という場合は、「ferret One for MA」をご検討ください。
BtoBマーケティングに特化したMAツールで、マーケターが見るべき指標をまとめた分析レポート機能を標準搭載。SFA/CRM連携にも対応しているため、わざわざBIツールを導入しなくても、マーケティング成果の可視化から商談管理までを一元化できます。
「分析を強化したいが、BIツールの導入ハードルが高い」とお悩みの方は、ぜひ資料をご覧ください。







